印刷する
研究演習3年 4単位 2014年度以後入学生
3年以上 経済   経営    
2013年度以前入学生
白井 諭 通年1コマ 3年以上 経済   経営    
備考  
シラバス1

【授業の目的】

授業の位置づけ(対応するディプロマポリシー):知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体的に行う態度

 本科目は法学部の専門演習です(必修)。刑事法(刑法・刑事訴訟法・刑事政策など)の基本的な論点の検討を通じて「社会事象を的確に捉え、分析し、解決する能力を備えた人材の育成」をねらいとします。

【到達目標】

(1)社会や法律学に対する関心・問題意識を持ち、それに従い自主的に勉学を進めることができる。[主体的に行う態度]
(2)大学や社会で必要となるコミュニケーション能力(読む・書く・話す)を身につけている。[思考力・判断力・表現力]
(3)刑事法の基本的な論点の所在を理解し、その概要を第三者に説明することができる。[知識・技能]
(4)社会で起こっている刑事事件について、刑事法の思考方法に従って理性的に意見を表明することができる。[知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体的に行う態度]

【授業計画】

≪授業内容≫
 授業形態:演習、授業方法:能動型(アクティブラーニング)

≪テーマ≫ 刑事司法システムの論点(仮)
 このゼミでは、前期に(刑事司法における最大の問題点といっても過言ではない)誤判・冤罪事件を検討することで、刑事司法における病理・問題点を確認します。テキストで取り上げられている事件の概要とその法的問題点を報告担当者にまとめてもらったうえで、判決/決定文の内容を受講者全員で検討します。(テキストには15の事例が収録されています。ゼミでどの事例を扱うか、受講者がそれぞれ何回報告を担当するかは受講者の人数や関心をみて決定します。)
 また、後期には、翌年度の「研究演習4年」で卒業論文を執筆するための準備として、各人が関心を持つ刑事法の問題について報告してもらいます。報告担当者は関心のある刑事法(刑法・刑事訴訟法・刑事政策など)の論点について論点の概要や自分の問題関心・私見を提示し、参加者全員でそれらを検討します。報告者以外の者も、討論に参加できるだけの準備を毎回行うとともに、各自レポートの執筆作業を進める必要があります。

≪授業計画≫
 <前期>
第1回 報告分担の決定
第2回〜第14回 誤判・冤罪事件の検討
第15回 前期のふりかえり
――学期末に報告に関するレポートを提出してもらいます。
――夏休みに施設参観や聞き取り調査、フィールドワークなどを行う予定です。

 <後期>
第16回 報告分担の決定
第17回 論文の書き方を学ぶ
第18回〜第23回 関心のあるテーマについての報告
第24回〜第29回 卒業論文の構想発表
第30回 後期のふりかえり
 ――必要に応じて、論文執筆に向けた指導(集団又は個別)を行います。
 ――学期末に報告と討論を踏まえたレポートを提出してもらいます。詳しい要領は追って指示します。


 ≪授業の進め方 & 授業外の学習≫
* 典型的なゼミナール形式で行います。報告者が関心のある刑事法(刑法・刑事訴訟法・刑事政策など)の論点について論点の概要や自分の問題関心・私見を提示し、参加者全員でそれらを検討します。報告者以外の者も、討論に参加できるだけの準備(基礎知識の習得と疑問点の洗い出し)を毎回行うとともに、各自レポートの執筆作業を進める必要があります。
―― 参加者全員が主役となってざっくばらんに語り合えるところにゼミの良さがあると考えています。パブリックな場である以上、それなりの秩序と規律は必要ですが、多少の脱線にたいして担当教員は寛容でいるつもりです。
―― しかしながら、出席回数を稼げばなんとかなるだろうとか、自分が何もしなくても教員が何でもやってくれるだろうといった後ろ向きの態度でいる「生徒さん」は確実に・そして無残にミスマッチを起こします。そもそも授業が面白いものになるかどうかは学生個々人の心意気にかかっています。受講者にはメンバーとしての自覚と責任を持ってもらいたいと思います。
―― 演習の際に必ず六法を持ってきてください。(小型のものでよい。ただし、「刑事訴訟法」などが搭載されている最新版に限る。)


【予習・復習】

* 受講者が予習・復習に毎週4時間程度費やすことを想定していますが、とくに報告準備やレポート執筆で相応の時間をとられることについて覚悟が必要です。

【授業関連科目】

 刑法I・II・III・IV及び刑事訴訟法I・IIを履修していることを前提にしてゼミを行います。これらの科目を履修していない者はゼミと並行して履修するか、自己責任で基礎知識を習得しておいてください。

【成績評価方法・注意】

成績評価方法:討論・プレゼン(70%)+レポート(30%)

(1)基本的に平常点で評価します。これは報告内容や受講態度などを総合的に勘案して決めるものであり、出席回数がそのまま評価の対象になることはありません。
(2)期末レポートは、(i)所定のテーマについて法的問題点を理解しているか、(ii)問題点に対する私見を説得的に述べられているかで評価します。前期・後期ともコメントを付けて本人に返却する予定です。

【教科書】

著者:今村 核 書名:冤罪と裁判[講談社現代新書] 出版社:講談社

【参考書】

適宜指示する
著者:三井誠=酒巻匡 書名:入門刑事手続法〔第6版〕 出版社:有斐閣