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判例講読 2単位 2014年度以後入学生
1年以上 経済   経営    
2013年度以前入学生
白井 諭 後期1コマ 1年以上 経済   経営    
備考  
シラバス1

【授業の目的】

 本学の教育理念で謳われている「社会事象を的確に捉え、分析し、解決する能力を備えた心豊かな人材」を育成するために、法律を学ぶ際に必要な能力を養います。社会のなかで発生した紛争を解決する過程で定められた「判例」を題材として、法的思考方法や社会・法律に対する関心を養っていきます。

【到達目標】

(1)社会や法律学に対する関心・問題意識を持ち、それに従い自主的に勉学を進めることができる。[CP/DP6 意欲・責任感]
(2)法律の分類の仕方や司法制度のしくみを理解している[DP/CP1 専門知識、DP/CP2 一般知識]
(3)「判例」を読み、様々な角度から分析することができる[DP/CP3 思考力]
(4)社会のなかで提起されている法的問題につき、意見を理性的に述べることができる[DP/CP3 思考力、CP/DP6 意欲・責任感]

【授業計画】

≪授業方法≫
* この科目では「反転授業」の方式を採用する。受講者にはあらかじめレジュメと講義ビデオに目を通してもらう。授業時間の前半部分で問題に取り組んでもらい、後半部分で問題に関する解説をする。対面での講義(問題の解説)を予定しているが、状況に応じて(例えば受講者が収容可能人数を超えた場合や構内への立入が制限された場合)、zoomを用いて(又はzoomと対面とで並行して)開講することがある。

≪授業内容≫
 法律を学び、それを運用する際に「判例」はきわめて重要な意味を持っている。この講義では、さまざまな法分野の判例(1コマにつき1-2件)を題材として、法律を学ぶにあたって必要となる基礎知識やスキルを身につけていく。

 ≪授業計画≫  ※取り上げる判例を変更することがあります。
第1回 判例とは何か
    <参考判例>とくになし
  <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>判例とは何か(法における判例の位置づけ)について知識を整理すること

第2回 裁判所のしくみと審級制度
    <参考判例>チョコレート缶事件(最判平24.2.13刑集66-4-482)、八海事件(最判昭43.10.25刑集22-11-961)
    <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>裁判所の仕組みと審級制度について知識を整理すること

第3回 民事訴訟と刑事訴訟
    <参考判例>犯罪被害者国家賠償事件(最大判昭27.12.24民集6-11-1214ほか)
    <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>裁判所の仕組みと審級制度について知識を整理すること

第4回 判例の機能
    <参考判例>田原湾干潟訴訟事件(最判昭61.12.16民集40-7-1236)
    <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>判例の機能について知識を整理すること
    
第5回 民事判例を読む
    <参考判例>所有権移転登記抹消登記手続請求事件(最判平18.2.23民集60-2-546)
    <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>授業で扱った判例を熟読すること、民事法の特徴について知識を整理すること 
    
第6回 刑事判例を読む
    <参考判例>未成年者略取被告事件(最決平17.12.6刑集59-10-1901)
    <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>授業で扱った判例を熟読すること、刑事法の特徴について知識を整理すること 
    
第7回 法の解釈(1)
    <参考判例>チャタレー事件(最大判昭32.3.13刑集11-3-997)、ジープ無断使用事故(最判昭39.2.4民集18-2-252)
    <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>授業で扱った判例を熟読すること、法解釈の方法について知識を整理すること
    
第8回 法の解釈(2)
    <参考判例>ガソリンカー事件(大判昭15.8.22大審院刑事裁判集19-540)、内縁破棄慰謝料請求事件(最判昭33.4.11民集12-5-789)
    <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>授業で扱った判例を熟読すること、拡張解釈と類推解釈の違いについて知識を整理すること
    
第9回 法的思考の方法
    <参考判例>制限行為能力者農地売却事件(最判昭44.2.13民集23-2-291)
    <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>授業で扱った判例を熟読すること、法的三段論法について枠組みをおさえておくこと   
    
第10回 弁護士の役割と実務[予定]
    <参考判例>とくになし
    <事前学修>弁護士の役割について情報を収集しておくこと
    <事後学修>弁護士の役割について自分の考えをまとめておくこと
     
第11回 判例の効力(射程)
    <参考判例>猿払事件(最大判昭49.11.6刑集28-9-393)、堀越事件(最判平24.12.7刑集66-12-1337)
    <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>授業で扱った判例を熟読すること、判例の効力について知識を整理すること   
    
第12回 憲法と民事法
    <参考判例>非嫡出子相続分規定違憲判決(最大決平7.7.5民集49-7-1789、最大判平25.9.4民集67-6-1320)
    <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>授業で扱った判例を熟読すること、憲法と民法の関係について知識を整理すること
    
第13回 憲法と刑事法
    <参考判例>尊属殺規定違憲判決(最大判昭48.4.4刑集27-3-265)
    <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>授業で扱った判例を熟読すること、憲法と民法の関係について知識を整理すること
    
第14回 三審制と裁判官の思考
    <参考判例>長良川等リンチ殺人事件損害賠償請求事件(最判平15.3.14民集57-3-229ほか)
    <事前学修>事前に配布するレジュメに目を通しておくこと
    <事後学修>授業で扱った判例を熟読すること、審級制度(三審制)について知識を整理すること
    
第15回 まとめ
    <参考判例>なし
    <事前学修><事後学修>授業で扱った内容をおさらいすること


(第15回終了後、学期末試験)



* 条文を参照しなければならない場面が頻繁にあるので、六法を必ず持参すること。

【予習・復習】

*予習(1回につき2時間程度)
(1)事前にWebClassを使ってレジュメを配布するので、目を通しておくこと
(2)「法律学入門」で扱った内容をいま一度見直すこと。
(3)講義で取り扱う予定の判例を検索して、自分で目を通してみること(基本的に、講義で扱う予定の判例はデータベースで検索できる)。

*復習(1回につき2時間程度) 
(1)講義で扱った判例を自分で読み込んだり、他の参考判例を読んでみたりすること。
(2)講義で扱った判例の要旨を文章の形にまとめておくこと。

【授業関連科目】

憲法、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法

【成績評価方法・注意】

* 基本的に学期末試験の成績で評価する。ただし、「平常点」として、授業への参加度を付加的に勘案することがある。「授業の参加度」は授業内レポートの内容などを実質的に勘案して評価するものであり、出席回数がそのまま評価の対象になることはない。

* この講義ではWebClassを用いてレジュメを事前に配布する。また、毎回取り組んでもらう問題への回答はweb上に入力してもらうことになる。問題への回答はスマートフォンでも可能だが、そのほかにも、レジュメを閲覧・プリントアウトできるPC環境を受講者が各自で確保しておくことが望ましい。

* 問題の解説を授業中におこなうので、自己採点に努めてほしい。

【教科書】

プリントを配布する
著者: 書名:六法(小型のもので可) 出版社:

【参考書】

著者:中野次雄(編) 書名:判例とその読み方〔三訂版〕 ISBN 978-4-641-12534-6 出版社:有斐閣
著者:笹倉秀夫 書名:法解釈講義 ISBN 978-4-13-032356-7 出版社:東京大学出版会
著者:青木人志 書名:判例の読み――シッシー&ワッシーと学ぶ―― ISBN 978-4-641-12595-7 出版社:有斐閣