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研究演習3年 4単位 2014年度以後入学生
3年以上 経済   経営    
2013年度以前入学生
中山 秀木 通年1コマ 3年以上 経済   経営    
備考  
シラバス1

【授業の目的】

本演習では、会社法の重要問題・判例・裁判例について検討する。とりわけ、株主総会にまつわる諸問題・取締役制度・株主代表訴訟を中心とした会社の機関(株式会社がどのように運営されるかということ)に関する分野を取り扱い、これを習熟することをめざす。3年後期半ば(下記授業計画1)までは主に、知識を習得し、それ以後はその知識を駆使して主体的に学習に取り組む姿勢を身につけることを目指す。

【到達目標】

・ 複雑で対象範囲が膨大である会社法について、とくに会社の機関およびコーポレートガヴァナンスについての最低限の基礎・骨格部分について理解を深めてることができるようになることめざす。
・ 就職活動および社会に出てから「これだけは勉強した」と自信をもっていえるモノを卒業レポート(および下記シラバス3にいうそのレポートの中間報告)の形で残してもらう。
・ 学習上の話ではないが、下記シラバス4にもあるように、ゼミで共に勉強する仲間を、かけがえのない(大学を卒業してからも忌憚なくつきあえる)一生の友達ができるようになれば幸いである。

【授業計画】

<<授業方法>
 本講は、原則として対面授業(通常の授業)で行う。ただし、緊急事態宣言発令など、対面授業の実施が困難になった場合は、Zoomを用いたオンライン形式で授業を行う場合がある。

1 会社法の概観(3年生第1回〜第30回ごろまで)
 演習のうち、3年生の後期半ばごろまでは、3年生である受講者全員が、会社法をまだ勉強していないことを前提に、必要最低限の会社法(とりわけ会社法の基本概念・考え方や機関に関する部分)の知識を、講義形式で概観する。

1回目 商法の目的と2つのベクトル。
<予習>2年間付き合う仲間との初顔合わせであるので、簡単な自己紹介の準備をお願いします。
<復習>本日の講義を振り返り、商法・会社法以外とくに憲法・民法・刑法の目指す目的とを対比させて理解を深めること。

2回目 会社法における登場人物と利害調整。
<予習>他の法律(憲法・民法・刑法)などでは、どのような利害調整を図ってきたかチェック
<復習>予習したことと照らし合わせ、商法ならではの利害調整の仕方を再確認。

3回目 会社の概念。
<予習>前回の授業で指示します。
<復習>「営利」・「社団」・「法人」という概念を作ることで、実際どのようなメリットがあるかかを確認。

4回目〜6回目 会社の種類と4種の会社の特色(前編)。
<予習>どんな種類の会社があるか、身近な例を探して下さい。
<復習>それぞれの種類の会社のメリット・デメリットを再確認。

7回目〜8回目株式会社総論(株式・間接有限責任)。
<予習>世界史既修者(高校時代の世界史の教科書を持っている人)は、11世紀頃の地中海貿易の仕方や17世紀のオランダ東インド会社について軽く目を通して下さい。
<復習>プリントやノートを中心に、株式会社という制度がいかに優れた「発明」であるかをチェック。

9回目〜10回目 資本制度。
<予習>出資者・構成員の「無責任」でだれが泣くかを考えて下さい。
<復習>プリントやノートを中心に、授業で話した制度を理解して下さい。

11回目 株主の権利・義務。
<予習>前回の授業で指示します。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、授業で採りあげた条文を再チェックし、教科書の該当箇所に目を通して下さい。

12回目 株主平等原則。
<予習>前回の授業で指示します。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、授業で採りあげた条文を再チェックし、教科書の該当箇所に目を通して下さい。


13回目〜14回目 株式譲渡自由の原則と例外。
<予習>株主の立場にたって、会社につぎ込んだお金をバックしたいときどうすればよいか考えて下さい。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、授業で採りあげた条文を再チェックし、教科書の該当箇所に目を通して下さい。

15回目 会社の機関総説、
<予習>憲法で学んだ「三権分立(国会・内閣・裁判所のチェックアンドバランス)」を復習して、授業に臨んで下さい。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、教科書の該当箇所や図表に目を通して下さい。




16回目 前期の復習。機関総説のおさらいと発展。
<予習>15回目の授業を復習して下さい。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、教科書の該当箇所や図表に目を通して下さい。

17回目〜19回目 株主総会
<予習>会社でいちばん偉いのはだれかを考えて下さい。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、授業で採りあげた条文を再チェックし、教科書の該当箇所に目を通して下さい。

20回目 取締役と取締役会の関係、取締役会。
<予習>株主と取締役の期待されていることの違いを考えてみてください。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、授業で採りあげた条文を再チェックし、教科書の該当箇所や図表に目を通して下さい。

21回目〜22回目 取締役。取締役の善菅注意義務。
<予習>取締役は何を根拠に会社での地位を与えられているか考えてみてください。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、授業で採りあげた条文を再チェックし、教科書の該当箇所に目を通して下さい。

23回〜24回 取締役の会社に対する責任・株主代表訴訟。
<予習>取締役が会社に損害を与えたらどうしたらいいかを考えてみてください。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、授業で採りあげた条文を再チェックし、教科書の該当箇所に目を通して下さい。

25回 取締役の第三者に対する責任。
<予習>会社が倒産したら債権者とくに担保をとっていない取引先はどうしたらいいでしょうか。泣き寝入りのままでいいのか考えてみてください。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、授業で採りあげた条文を再チェックし、教科書の該当箇所に目を通して下さい。

26回〜27回 取締役の忠実義務。
<予習>取締役はなぜ会社のために働かなければならないか、考えてみてください。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、授業で採りあげた条文を再チェックし、教科書の該当箇所に目を通して下さい。

28回 代表取締役。
<予習>社長は、どういういきさつから「代表」取締役社長なのでしょうか。考えてみてください。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、授業で採りあげた条文を再チェックし、教科書の該当箇所に目を通して下さい。


29回 監査役。
<予習>取締役ら経営陣が暴走したらどうすればよいか考えて下さい。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、授業で採りあげた条文を再チェックし、教科書の該当箇所に目を通して下さい。


30回 会計監査人・会計参与。
<予習>まっとうな会社であるために、会計の「プロ」の力をどのようにして借りるべきか、考えてみてください。
<復習>プリントやノートを中心に授業を振り返り、授業で採りあげた条文を再チェックし、教科書の該当箇所に目を通して下さい。


2 判例・重要問題などの研究(4年生第1回ごろ〜4年生第15回ごろまで)
 つづいて、3年生後期後半ごろから4年生前期にかけて、各テーマ・重要判例につき、あらかじめ報告者を決めて、その報告に基づき、出席者全員でそのテーマについて討論して理解を深める。具体的な内容は、受講者と話し合って確定する。

3 レポートの作成(4年生第16回ごろ〜4年生第30回まで)
 4年次末には、一定の勉強の成果をあらわした卒業レポートを作成してもらう。テーマは商法・会社法の分野のなかから各自で選択して貰う(必要があれば教官が助言するが、授業計画2にある「判例・重要問題などの研究」において報告した分野と同じテーマについて、これを深めたりその応用的なことをレポートのテーマに選んでいただいてもかまわない)。4年生後期頃からレポートの中間報告を演習の授業の際に行い、各人数回の検討を経て、段階的によりよいレポートに仕上げてもらう予定である。

4 課外イヴェント
 また、授業以外にも様々な見学会、また勉強以外の各種親睦会(いわゆるコンパ)・ゼミ旅行(平成19年度は北九州・福岡方面、平成20年度は神戸方面、平成21年度と平成25年度は沖縄本島方面、平成22年度は横浜・秋葉原・浅草方面、平成28・29年度は京都方面。平成23・24・26・27・30年度は残念ながら流会、令和元年度は冬頃の実施を協議中)etc.も予定しており、(強制ではないが)受講者の積極的な参加が求められる。大学でのサークルやゼミは、経済的利害関係がつきまとわない友人(社会人になってからでは得難いものである)を得る最後のチャンスである。演習でのゼミ生同士の出会いや交流を大切にしてほしい。

【予習・復習】

  予習・復習について
 前記1の「会社法の概観」について、原則としてに予習は求めないが(予習を必要とする場合は、それぞれ前の授業中に指示する)、授業後、3〜4時間程度の復習(プリント・ノート・教科書や参考書などを読み返したり、六法で授業中言及した条文の再確認)は求める。(次回の授業で復習してきたかどうかを確認する)。
 前記2「判例・重要問題などの研究」・3「レポートの作成」については、予習として、報告者だけでなく、参加者全員にも、必要最小限の資料に目をとおしてもらうことを求める(1時間30分程度)。

【授業関連科目】

会社法・商法

【成績評価方法・注意】

 出席点・毎回の授業に対する参加態度(単に出席して黙って座っているだけでなく、割り当てられた報告の内容や、議論への積極的発言および意見表明について)および卒業レポート(4年次)などで評価する。場合によっては、3年次の講義形式の授業の合間にレポートを課したり、小テストを実施する場合もある。その場合、事後に答え合わせや、全体的な講評も授業中に行う。

【教科書】

著者:伊藤靖史=大杉謙一=田中亘=松井秀征 書名:『会社法【第5版】』ISBN978-4-641-17946-2 出版社:(有斐閣Legal Quest・2021年3月刊行)ただし諸般の事情により、テキスト変更の可能性が大いにあるので、開講直前期の掲示などに十分に注意したうえで、準備して下さい。

【参考書】

適宜指示する