シラバス1
【授業の目的】
この講義は法学部の専門科目(自由選択科目I群)である。現代における刑事司法・少年司法の在り方を検討する機会を提供することで「専門学術の振興」をはかる。また、知識の獲得にとどまらず、思考方法を身につけられるような講義を通じて「幅広い学習機会の提供」や「社会的人材の育成」を目指す。
【到達目標】
(1)社会や刑事法に対する関心・問題意識を持ち、それに従い自主的に勉学を進めることができる。[CP/DP6 意欲・責任感] (2)少年法の基本原理の概要を他者に説明することができる[DP/CP1 専門知識] (3)社会で起こっている刑事事件につき、意見を理性的に述べることができる[DP/CP3 思考力、DP/CP5会話・文章力、DP/CP6 意欲・責任感]
【授業計画】
≪授業方法≫ * この科目では「反転授業」の方式を採用する。受講者にはあらかじめレジュメに目を通してもらう。授業時間の前半部分で問題に取り組んでもらい、後半部分で問題に関する解説をする。対面での講義(問題の解説)を予定しているが、状況に応じて(例えば受講者が収容可能人数を超えた場合や構内への立入が制限された場合)、zoomを用いて(又はzoomと対面とで並行して)開講することがある。
≪テーマ≫若年者に対する刑事法制と「少年法」 最近、マスメディアなどで少年犯罪がクローズアップされ、そのたびに凶悪犯罪をおかした少年に厳正な制裁を下すことを求める世論が強まっている。また、公職選挙法や民法などの改正にあわせて、少年法の適用可能年齢を「20歳未満」から「18歳未満」に引き下げる動きが生じている(法制審議会における最近の議論では、ひとまず少年法の適用年齢を従来どおり「20歳未満」とすることになったが、それでもなお犯罪少年に対する厳罰化は推し進められようとしている)。 しかし、非行少年に厳正な刑罰を科すことで本当に事態は改善するのだろうか?近代社会では、少年非行には成人とは異なる対応が必要だという認識から「少年法」(又はそれに代わる法律)の下、非行少年に対して特別な措置を講じてきた。そもそも子どもの成長発達は保護者など周りの大人が責任を負わなければならないものであり、非行少年に対していかなる処遇が必要・適切であるかを考えることは刑事法制や社会全体のあるべきかたちを見出していくことにつながるであろう。 そこで、今年度より「現代刑事法」では、若年者に対する刑事法制と「少年法」の在り方について参加者全員で考えていくことにしたい。
≪授業計画≫ 第1回 「少年法」の目的と特徴 <参考資料>ビギナーズ少年法pp.1-11 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 少年法の目的と特徴について情報を収集しておくこと <事後学修>少年法の目的について、自分の考えをまとめておくこと
第2回 「少年法」の対象 <参考資料>ビギナーズ少年法pp.156、勉強会とりまとめ報告書pp.4-8 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 少年法の対象年齢引下げの議論について、情報を収集しておくこと <事後学修>少年法の対象年齢引下げの是非について、自分の考えをまとめておくこと
第3回 「少年法」の歴史と基本原則 <参考資料>ビギナーズ少年法pp.18-61 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 少年非行の現状について、情報を収集しておくこと <事後学修>少年非行の現状を改善する方策について、自分の考えをまとめておくこと
第4回 少年非行の発見と調査・捜査活動 <参考資料>ビギナーズ少年法pp.111-148 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 少年非行に対する警察等の役割について、情報を収集しておくこと <事後学修>少年非行に対する警察等の役割について、自分の考えをまとめておくこと
第5回 家庭裁判所の役割 <参考資料>ビギナーズ少年法pp.149-162 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 家庭裁判所について、情報を収集しておくこと <事後学修>少年司法における家庭裁判所の役割について、自分の考えをまとめておくこと
第6回 少年審判の原理・原則 <参考資料>ビギナーズ少年法pp.185-193,199-204 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 少年審判について、情報を収集しておくこと <事後学修>少年審判の在り方について、自分の考えをまとめておくこと
第7回 非行事実と要保護性の認定 <参考資料>ビギナーズ少年法pp.163-184,194-198 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 少年審判について、情報を収集しておくこと <事後学修>非行少年に対する処分決定の在り方について、自分の考えをまとめておくこと
第8回 少年司法における付添人・検察官の役割 <参考資料>ビギナーズ少年法pp.205-218 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 少年司法における弁護士・検察官の役割について、情報を収集しておくこと <事後学修>少年司法における弁護士・検察官の役割について、自分の考えをまとめておくこと
第9回 少年司法における被害者等の役割 <参考資料>ビギナーズ少年法pp.86-110 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 少年司法における被害者等の役割について、情報を収集しておくこと <事後学修>少年司法における被害者等の役割について、自分の考えをまとめておくこと
第10回 少年審判の終局決定 <参考資料>ビギナーズ少年法pp.231-233 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 非行少年に対する処分について、情報を収集しておくこと <事後学修>非行少年に対する処分について、自分の考えをまとめておくこと
第11回 非行少年の保護処分 <参考資料>ビギナーズ少年法pp.233-249 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 少年院や保護観察などについて、情報を収集しておくこと <事後学修>非行少年に望ましい処分の在り方について、自分の考えをまとめておくこと
第12回 非行少年の刑事手続 <参考資料>ビギナーズ少年法pp.219-230 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 刑事手続の流れと基本原則について、情報を収集しておくこと <事後学修>非行少年に対する刑事手続の在り方について、自分の考えをまとめておくこと
第13回 施設内処遇と社会内処遇 <参考資料>勉強会とりまとめ報告書pp.8-15 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること 少年法の対象年齢引下げの議論について、情報を収集しておくこと <事後学修>非行少年に望ましい処遇の在り方について、自分の考えをまとめておくこと
第14回 少年司法と国際準則 <参考資料>「自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)」と「子どもの権利に関する条約」の条文 <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること <事後学修>非行少年に望ましい処分の在り方について、自分の考えをまとめておくこと
第15回 まとめ <参考資料> --- <事前学修>少年法の対象年齢引下げの議論について、情報を収集しておくこと <事後学修>非行少年に望ましい処遇の在り方について、自分の考えをまとめておくこと
(第15回終了後、定期試験)
≪授業の進め方≫ * この科目では、まず前半部分で少年法の基礎知識を担当教員が解説する。そして後半部分では、講義で扱ったテーマにかかわる問題点を参加者全員で検討する(教員からの問いに答えてもらったり、自分の意見を述べてもらったりすることがある)。
* いずれも、授業中に条文の参照が必要となる場面が頻繁に出てくるので、六法を必ず持参すること(小型のものでかまわないが、「刑事訴訟法」・「刑事収容施設及び被収容者の処遇に関する法律」などを搭載した最新版を用意すること)。
【予習・復習】
*予習(1回につき2時間程度) (1)「刑法」「刑事訴訟法」「少年法」の基本原則を確認しておくこと。 (2)事前に講義案内システム(講義掲示板)を用いてレジュメを配布するので、目を通しておくこと。 (3)題材とする具体的な問題について、各自で情報を収集しておくこと(インターネットを使用しても構わないが、官公庁や新聞社などが作成している信頼性の高いサイトを参照すること)。
*復習(1回につき2時間程度) 配布資料などを基に、講義で扱った基本原則の内容を確認すること。
【授業関連科目】
「刑法」、「刑事訴訟法」及び「刑事政策」の講義を履修済みであるか同時並行で履修していることが望ましい。
【成績評価方法・注意】
* 基本的に学期末試験の成績で評価するが、「平常点」として、授業への参加度などを付加的に勘案することがある。「授業の参加度」は授業内レポートの内容などを実質的に勘案して評価するものであり、出席回数がそのまま評価の対象になることはない。
* この講義では「講義案内システム」を用いて受講者とコミュニケーションをとったり、スマートフォンを使ってアンケートをとったりすることがあるので、「講義案内システム」を利用できる環境(PC又はスマートフォン)を受講者が各自で確保しておくこと(とくにオンラインで開講することになった場合はweb上に回答を入力してもらう)。
* 授業内レポートは担当教員がチェックして本人に返却する。オンラインで開講することになった場合は回答に対する個別のフィードバックができないので、授業中の解説を手掛かりとして自己採点をしてほしい。
【教科書】
プリントを配布する
著者: 書名:六法(小型のもので可) 出版社:
【参考書】
適宜指示する
著者:法務省法務総合研究所(編) 書名:令和2年版 犯罪白書 出版社:http://www.moj.go.jp/housouken/houso_hakusho2.html
著者:若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会 書名:「若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会」取りまとめ報告書 出版社:http://www.moj.go.jp/content/001210649.pdf
著者:守山正=後藤弘子(編著) 書名:ビギナーズ少年法〔第3版〕ISBN 978-4-7923-5209-7 出版社:成文堂
シラバス2
【授業形態】
【授業方法】
受動型 |
アクティブラーニング |
その他 |
課題解決型 |
ディスカッション ディベート |
グループワーク ペアワーク |
プレゼン テーション |
フィールド スタディ |
その他 |
○ |
○ |
○ |
|
|
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【受講生のPC等使用】
PC・タブレット (教室に備付) |
PC・タブレット (学生自身が準備) |
スマートフォン |
その他 |
|
○ |
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|
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【初年次教育】
【接続科目】
【評価(方法)手段】
評価(方法)手段 |
学部・学科カリキュラム・ポリシー(CP) |
知能・技能 |
思考・判断・表現力 |
主体性・態度 |
CP1 |
CP2 |
CP3 |
CP4 |
CP5 |
CP6 |
CP7 |
CP8 |
CP9 |
専門知識 |
一般知識 |
思考力 |
判断力 |
会話・文章力 |
意欲・責任感 |
協調性 |
持続性 |
倫理観 |
評価(方法)手段 |
○ |
|
○ |
|
○ |
○ |
|
|
|
学習目標(比率) |
55% |
|
15% |
|
15% |
15% |
|
|
|
評価手段(比率) |
試験 |
60% |
40 |
|
10 |
|
10 |
|
|
|
|
小テスト |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
レポート |
25% |
15 |
|
5 |
|
5 |
|
|
|
|
成果発表 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
受講態度 |
15% |
|
|
|
|
|
15 |
|
|
|
その他 |
|
|
|
|
|
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対応するディプロマ・ポリシー(DP) |
知能・技能 |
思考・判断・表現力 |
主体性・態度 |
DP1 |
DP2 |
DP3 |
DP4 |
DP5 |
DP6 |
DP7 |
DP8 |
DP9 |
専門知識 |
一般知識 |
思考力 |
判断力 |
会話・文章力 |
意欲・責任感 |
協調性 |
持続性 |
倫理観 |
○ |
|
○ |
|
○ |
○ |
|
|
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