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法哲学特殊講義 2単位   1年以上  
青井 秀夫 前期 クラス : 大学院 ■不開講
実務経験 内容 過去10年間、関西中央法律事務所において大阪弁護士会所属弁護士として勤務し、一般民事、民間企業の知的財産権侵害、刑事分野の国選弁護などの領域にも範囲を広げて、実務活動に従事してきた。その過程で、研究教育と実務活動は交互に相補的に行うことが、どちらの分野にとっても、最も生産的であることを強く自覚するようになった。今後も、それら両分野の有機的連携を目指していきたいと考えている。
授業との関連 元来法哲学は経験の叡知の結晶であるにもかかわらず、ともすれば経験から離れた内容空虚な抽象論に堕落する危険がある。この授業では、教官自身の実務経験からの刺激を多く盛り込むことにより、退屈で生気の褪せた法理論から脱却できるよう努力したい。

シラバス1

【授業の目的】

この授業では、さしあたりは方法論のアプローチにウエートをおきつつ、民刑事法などの実定法各分野における裁判官の法思考の構造を明るみに出した上で、応用問題として法律実務の実態との乖離現象や比較方法論の問題をも視野に取り込み、高度専門知識の錬成に寄与したいと考える。


【到達目標】

「裁判官の法思考と判例法」 法律の実務においては条文と事実のみでなく、先例または判例の参照に大きなウエートがおかれている。しかし、英米法系ならいざ知らず、わが国のような大陸法系の法秩序において、判例または判例法が如何なる意義と有効射程を有しているかは、それほど簡単な問題ではなく、慎重な検討が必要である。このような問題意識を背景として、この授業では、判例法を正しく取り扱う前提として、先ずは、裁判官による法律適用と判決発見過程に様々な角度から光をあてることに力点をおきたい。かようにして裁判官の法思考についての高度専門知識が得られた後、次第に判例の意義と射程如何という元来の問題について、幅広い視野に立って分析と検討を進めることにしたい。
 裁判官はいかなる仕方で事実を認定し、いかなる仕方で事案に法律をあてはめるのかという、法適用や判決作成の過程については、方法論のレベルで展開された多くの議論を取り上げ検討する必要があるが、それだけでなく、先進各国の法秩序における裁判実務の実態が方法論の建前から多少ともずれているとみられる場合は、心理学的社会学的実態分析の角度から検討する必要がある。


【授業計画】

1. 第1章 判例法とは何か
2. 第2章 裁判官による法律適用のメカニズム
3. 第3章 法律学的三段論法と大前提の作成
4. 第4章 事実認定
5. 第5章 包摂とは何か
6. 第6章 裁判官による法発見の諸前提
7. 第7章 裁判官による法律解釈の手段
8. 第8章 裁判官による法律解釈の目標
9. 第9章 裁量条項と一般条項
10. 第10章 欠缺補充の技法と限界
11. 第11章 条理裁判の問題
12. 第12章 法律の訂正
13. 第13章 諸外国における裁判官の発展的法形成との比較
14. 第14章 応用問題 ― 租税法と類型
15. 第15章 総括

英語の文献を適宜参照する可能性がある。定期試験は実施しない。


【予習・復習】

受講にあたっては、毎回予習2時間、復習2時間程度学習するよう、努力してください。
具体的には次の点に留意してください。第1回の予習としては、判例法または裁判官法とは何かについて予習し、事後には問題点につき復習すること。第2回では、裁判官の法的操作を解釈と欠缺補充と訂正という3つの局面に分け、違いを理解できるよう、予習復習してください。第3回では、法律学的三段論法とその大前提の形成について、問題点を予習するとともに、重要点につき復習すること。第4回では、事実認定の重要性とその困難性について、予習復習すること。第5回では、包摂という操作の仕組みについて、予習復習すること。第6回では、裁判官による法発見の重要な前提は何かについて予習復習すること。第7回では、法律解釈の手段としてどのような手段があるかについて概要を把握できるよう、予習復習してください。第8回では、法律解釈の目標について、2つの学説の対立点を十分理解できるよう、予習復習してください。第9回では、裁量条項と一般条項の違いと問題点について、予習復習すること。第10回では、欠缺補充の技法の基本点と限界を理解するよう、予習復習してください。第11回では、条理裁判の実例と問題点について、予習復習してください。第12回では、裁判官が法律を訂正する作業の問題点について、予習復習してください。第13回では、先進諸外国の裁判官の操作について比較方法論の視座はどのように展望できるかについて、予習復習してください。第14回では、実定法のいずれかの分野から具体例を取り上げ、方法論的に論評できるよう、予習復習してください。第15回では、以上のすべての考察を総括し、裁判官の法発見方法論や比較方法論から何を学ぶことができるかについて、自分の考えが持てるよう、予習復習してください。


【授業関連科目】

憲法、行政法、民法、刑法、訴訟法などの実定法科目全般、法思想史、法社会学


【成績評価方法・注意】

平素の態度とレポート


【教科書】

著者:青井秀夫 書名:『法理学概説』 出版社:有斐閣 (2007年)


【参考書】

著者:青井秀夫 書名:『法思考とパタン』 出版社:創文社 (2000年)


シラバス2

【授業形態】

講義 演習 実習・実技 実験
     

【授業方法】

受動型 アクティブラーニング その他
課題解決型 ディスカッション
ディベート
グループワーク
ペアワーク
プレゼン
テーション
フィールド
スタディ
その他
           

【受講生のPC等使用】

PC・タブレット
(教室に備付)
PC・タブレット
(学生自身が準備)
スマートフォン その他
     

【接続科目】

地域社会 国際社会 産業界

【評価(方法)手段】

評価(方法)手段 研究科カリキュラム・ポリシー(CP)
知能・技能 思考・判断・表現力 主体性・態度
CP1 CP2 CP3 CP4 CP5 CP6 CP7 CP8 CP9
高度な専門知識 専門知識 思考力 判断力 会話・文章力 意欲・責任感 協調性 持続性 倫理観
評価(方法)手段      
学習目標(比率) 60% 10% 10% 10% 5% 5%
評価手段(比率) 試験
小テスト
レポート
成果発表 90% 60 10 10 10
受講態度 10% 5 5
その他
対応するディプロマ・ポリシー(DP) 知能・技能 思考・判断・表現力 主体性・態度
DP1 DP2 DP3 DP4 DP5 DP6 DP7 DP8 DP9
高度な専門知識 専門知識 思考力 判断力 会話・文章力 意欲・責任感 協調性 持続性 倫理観
     

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