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経営学II 2単位 2014年度以後入学生
  経済   経営 1年以上 2年以上
2013年度以前入学生
香川 俊樹 後期1コマ   経済   経営 1年以上 2年以上
備考 経営学科生のみ履修可能
実務経験 内容 作業内容別、工程別に標準時間の設定を行い、作業ごとの一日の仕事量の基準を決めて、製品別工程別のスケジューリングが可能な組織運営を行った。各作業者に最適な仕事量の配分を行い、企業の利益最大、従業員の給与最大を実践してきた。
授業との関連 F.W.テイラーの「科学的管理法」を学び、「課業管理」、「作業の標準化」、「作業管理のために最適な組織形態」の3つの原理を理解して、実際の企業経営でどのように応用してきたかを考える講義を目指す。
シラバス1

【授業の目的】

経営学IIを通して、本学の建学の精神である「中正な思想を涵養し、広い視野を持って社会に貢献する人物の養成」、「産業の現実に関心を持ち、文化的知性をそなえ、創造的に社会の発展を指向する人物の養成」を目指し、教育理念の「幅広い学習機会の提供」、「専門学術の振興」を授業目標とする。
現代経営の第一歩は、F.W.テイラーから始まったと言われている。テイラーを知らずしてマネージメントを語ることはできない。経営学を学ぶものとしてテイラーの「科学的管理法」を学んで経営学の原点を理解する授業である。

【到達目標】

本授業を受講することで経営学のパイオニア、テイラーの「科学的管理法の原理」を学習し、経営学を実践する力を身に着けて、実社会で起こるあらゆるビジネス現象への対応力をやしない、社会的貢献が可能な人材となる。
1.テイラーと言う人物、その学説と理論、そして現実の企業経営に対する影響を理解してテイラーの「科学的管理法」の理論を理解する。
2.マネージメントには研究であろうと実践であろうと、「人間観察」とそれに基づく「人間理解」が何より重要である。そのことをテイラーの著書「科学的管理法」を学ぶことで本書が人間観察の記録であることを理解する。

【授業計画】

オンライン対応時の授業方法は、講義前日に「講義掲示板」から講義ノートを送信します、毎回レポートを提出してください。
初回の授業で講義内容の概要についてプリントを配布する。
事前学修は、配布プリントの各章を読みこんで、理解できない事項を明確にして授業を受ける。
事後学修は、事前学修での不明事項について確認し、理解を確実なものとしてほしい。

1.テイラーと、彼の著書「科学的管理法」の概要について
 テイラーの生い立ちと、「科学的管理法」が考えられた当時の状況について、時代背景などを理解する。
2.テイラーはどんな人か?、テイラーの生涯は?、科学的管理法に対する批判について
 テイラーの「科学的管理法」を読む前に知っておくべき予備知識を学習する、テイラーの理論の中で提唱された職能的職長制はJ.H.ファヨールによって批判されるが、これはまさに技術経営を包含し、経営組織論、マクロ組織論の古典的議論の原点ではないか。
3.テイラーが生きた当時のアメリカ合衆国について学習する
 どのような時代背景の中で「科学的管理法」が考えられたのか、その当時のアメリカの政治状況、経済の状態について理解する。
4.科学的管理法 序章の本書の狙いについて、第一章 科学的管理法とはなにか P4〜P16
 「仕組み」の重要性と本書の3つの狙いについて、マネージメントの目的、労働者を蝕む最大の悪習について理解する。特にマネージメントの目的は、経営者の限りない繁栄と、労働者の最大限の豊かさを掲げており、経営戦略が明確だと言える。
5.科学的管理法 第一章 科学的管理法とはなにか(2) P17〜P33
 怠業の原因その1、怠業の原因その2、怠業の原因その3について理解する。
アメリカ機械学会で発表した「工場マネージメント」と題した論文について、マネージャーが果たすべき責務、科学的管理法がもたらすものについて理解する。
6.「科学的管理法」以前における最善の手法 P36〜P41
 科学的管理法の原則は、従来のマネージメント原則と本質的にどう違うのかなどについて理解する。
7.科学的管理法のエッセンスについて P42〜P48
 マネージャーの4つの新しい任務、マネージャーと働き手の役割分担、作業プランを作成し、実行することについて理解する。
8.銑鉄の運搬作業における取組について P49〜P58
 専門性が無く誰でもできる仕事、適材を探し出す、訓練や手助けが不可欠なことを理解する。
9.私の職歴 − マネージメント改革に傾注した背景 ―について P59〜P75
 機械工場の現場で働く、部下たちとの対立、マネージメント改革を決意、作業と疲労度に関する研究、一日の労働に占める作業時間、作業者の人選の重要性を理解する。
10.シャベル救い作業の研究について P76〜P90
 シャベルすくい作業における科学、作業者を「個」として扱う、データが示す導入効果、賃金アップと働く意欲の関係、単独作業のメリットについて理解する。
11.レンガ積みにおける検証について P91〜P101
 F.B.ギルブレスによる調査、作業工程の短縮に成功、標準手法の導入と協力体制、科学的管理法の成果について理解する。
12.ベアリング用ボールの検品に対する考察について P102〜P114
 1日10時間半の労働、「パーソナル係数」による適性判断などについて理解する。
13.高度な金属切削業務における探求について P115〜P134
 研究から導き出された法則、作業者の経験則の限界などについて理解する。
14.科学的管理法の実践について P135〜P166
 科学を解き明かす、法則を導くための5つのステップ、標準ツールの製作、課題とモチベーションの関係、重要な二要素―課題とボーナス、プランニング部門の役割、複数の職長による指導、科学的管理法のメカニズムを支える要素について理解するとともに、製品開発やイノベーションの基礎となることを理解する。
15.現代の製造業での「科学的管理法」の応用について
 現在の製造現場で追求されているコストミニマムな生産管理手法は、品質を確保することを前提とする品質経営、トヨタの生産管理システムに代表されるが、原理原則はテイラーの科学的管理法が受け継がれていることを理解する。

【予習・復習】

講義を受講するに際して、予習2時間・復習2時間を取ること。
事前学修は、配布プリントの各章を読みこんで、理解できない事項を明確にして授業を受ける。
事後学修は、事前学修での不明事項について確認し、理解を確実なものとしてほしい。

【授業関連科目】

 

【成績評価方法・注意】

本講義は15回のレポートの内容と受講態度により評価し、成績とする。
授業開始時に前回提出した課題について、全体のコメント等を述べるので留意して,次回の課題に備えること.
なお、本講義は教科書の内容に沿って、資料配付と講義を行います。よって、教科書を持たずに受講する者は著作権の関係上、履修を中止してください。

【教科書】

著者:フレデリックW.テイラー著 有賀裕子訳 書名:新訳 科学的管理法 −マネジメントの原点― 出版社:ダイヤモンド社

【参考書】

適宜指示する