【授業の目的】

　本講義の目標は、会計分野に関する専門科目として、本学の教育目標のうち主に「専門学術の振興」に貢献することである。

【到達目標】

　本講義は会計学に対するより深い理解の習得を目標としている。本講義が目指す到達目標は講義終了時に受講者が次のことをできるようになることである。
・企業の財務諸表を読み、その概要を理解できる。
・「企業会計原則」における計算構造の概要を説明できる。
・我が国における討議資料「財務会計の概念フレームワーク」の概要を説明できる。

【授業計画】

＜受講上の注意＞
　本演習の申し込みにおいては、原則として、会計専門コース所属学生を優先する。

　現代会計においては非常に多様な将来予測要素がぞくぞくと会計実務に導入されている。さらに、その会計実務を支える会計原則がつぎつぎと設定され、会計理論もさまざまに展開されている。本演習では企業の財務諸表等を用いつつ、会計実務、会計原則、および会計理論の変化がなぜ生じるのかなどの問題を中心に検討していく。下記の授業計画に記載していない会計問題については、4年次にて検討する予定である。
　なお、研究演習3年で検討する会計問題は、新しい会計基準の公表等の優先度の高い事象の発生や、各受講生の関心等に応じて変更する予定である。

（1）研究演習の進め方について（オリエンテーション）
　　事前学修：将来の進路について考える。
　　事後学修：研究演習における学習計画の全体像を再確認する。

（2）会計の機能
　　（プリントを配布する）
　　事前学修：財務諸表が果たす社会的役割について調べる。
　　事後学修：講義内容の再確認をする。

（3）現代会計を取り巻く社会状況と我が国の会計制度
　　（伊藤邦雄『新・現代会計入門』第4版、2020年、序章〜第3章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（4）会計基準、会計理論、および法律と会計実務との関係
　　（伊藤、第4章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（5）近代会計の基本的処理原則（１）（実現主義と発生主義）
　　（伊藤、第5章、および企業会計審議会「企業会計原則」）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（6）近代会計の基本的処理原則（２）（費用配分の原則と費用収益対応の原則）
　　（伊藤、第5章、および企業会計審議会「企業会計原則」）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（7）収益の会計処理（１）（契約の識別、および履行義務の識別）
　　（伊藤、第6章、および企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（8）収益の会計処理（２）（取引価格の算定、および取引価格の履行義務への配分）
　　（伊藤、第6章、および企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（9）収益の会計処理（３）（収益の認識）
　　（伊藤、第6章、および企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（10）費用の会計処理
　　（伊藤、第6章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（11）資産の会計処理（１）（流動資産）
　　（伊藤、第7〜8章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（12）資産の会計処理（２）（固定資産と繰延資産）
　　（伊藤、第8章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（13）負債の会計処理（１）（流動負債と固定負債）
　　（伊藤、第9章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（14）負債の会計処理（２）（引当金）
　　（伊藤、第9章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（15）資本の会計処理
　　（伊藤、第9章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（16）後期の学修計画（オリエンテーション）
　　事前学修：これまでの内容を復習する。
　　事後学修：後期の学修計画について再確認する。

（17）財務諸表分析（１）（安全性分析）
　　（伊藤、終章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（18）財務諸表分析（２）（収益性分析）
　　（伊藤、終章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（19）財務諸表分析のまとめ
　　（伊藤、終章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（20）近代会計理論の特徴と論理的制約
　　（企業会計審議会「企業会計原則」）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（21）減損会計
　　（企業会計審議会「固定資産の減損に係る会計基準」、および伊藤、第8章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（22）資産除去債務会計
　　（企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（23）金融商品会計
　　（企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」、および伊藤、第10章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（24）退職給付会計
　　（企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」、および伊藤、第11章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（25）討議資料「財務会計の概念フレームワーク」と会計基準
　　（企業会計基準委員会「財務会計の概念フレームワーク」、前文）　　
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（26）「財務会計の概念フレームワーク」（１）（財務報告の目的）
　　（企業会計基準委員会「財務会計の概念フレームワーク」、第１章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（27）「財務会計の概念フレームワーク」（２）（会計情報の質的特性）
　　（企業会計基準委員会「財務会計の概念フレームワーク」、第２章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（28）「財務会計の概念フレームワーク」（３）（財務諸表の構成要素）
　　（企業会計基準委員会「財務会計の概念フレームワーク」、第３章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（29）「財務会計の概念フレームワーク」（４）（財務諸表における認識と測定）
　　（企業会計基準委員会「財務会計の概念フレームワーク」、第４章）
　　事前学修：教科書を読み、問題点をまとめる。
　　事後学修：問題点の整理をする。

（30）総括
　　事前学修：これまでの内容を復習し、卒業論文のテーマを検討する。
　　事後学修：卒業論文のテーマを決定する。

【予習・復習】

予習（2時間）
　授業計画を参考にして、次回の講義で学修する会計基準等の該当部分（該当部分の記載がない回についてはその都度指示する）を読み、疑問点等をチェックすること。また、講義での報告を課した場合には、その準備をしてくること。

復習（2時間）
　毎回の講義で学修した範囲の会計基準等を読み返し、自分なりに整理しつつ、予習時における疑問点について確認する。復習時に生じた疑問点は質問すること。

【授業関連科目】

・会計学
・財務諸表論
・国際会計論
・連結会計論
・管理会計論
・会計監査論

【成績評価方法・注意】

・成績評価方法：レポートと討論・プレゼンの両方
　成績評価は主に講義時間中の受講態度（報告内容などを含む）およびレポート（研究演習4年においては卒業論文）によって評価する。成績のおおよその配分は、講義中の活動内容を40％、レポートを60％とする。
　なお、レポートはコメント等をつけて返却する。

【教科書】

著者：伊藤邦雄　書名：新・現代会計入門（第４版）　出版社：日本経済新聞出版社
著者：中央経済社編　書名：新版　会計法規集　出版社：中央経済社

【参考書】

著者：加藤盛弘　書名：負債拡大の現代会計　出版社：森山書店