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公共の倫理学 2単位 2014年度以後入学生
1年以上 経済 1年以上 経営 1年以上 1年以上
2013年度以前入学生
九鬼 一人 後期1コマ   経済   経営    
備考  
シラバス1

【授業の目的】

功利主義の限界と可能性の考察をつうじて、公共性を考えてゆく。授業の位置付け:DP2一般知識、DP3思考力、DP9倫理観
 法と倫理・経済と倫理の問題を考え、ビジネスエシックスとの接合をはかる。幅広く深い教養を培うとともに、公共的な倫理の問題へのアプローチの姿勢を内省する。

【到達目標】

倫理的な思考を磨く。
一、功利主義のの基本的思考・学説的経緯を知ることができる。
二、契約論的倫理学に沿って、自己の利益と他者の利益の調停について、問題意識をもてる。
三、公共的な意志決定の問題(集合的決定論)について、基本的姿勢を養える。とくに法学・経済学への応用・ビジネスエシックスに配慮する。
四、倫理的問題の考察をとおして、文章力の向上を図る。

【授業計画】

一、授業の位置付け:CP2一般知識、CP3思考力、CP9倫理観
二、講義
三、受動型+その他
 前半10回は教科書に準拠して、課題を解くことによって、文章力の向上が期待できる(3〜7点で採点する)。後半5回■印は、授業の内容をまとめてもらう。4〜8点をつける。定期試験は行わない。

1.10人の命を救うために1人の人を殺すことは許されるか 功利主義の躓きの石を考える
教科書 第2章                事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
2.特効薬を如何に配分するか 功利主義に含まれる問題を考察できるようになる
  教科書 第3章                事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
3.エゴイズムは正当化されないか 功利主義と権利の関係について反省できる
  教科書 第4章
  事前学修:行為功利主義と規則功利主義とのちがいについて調べて来よう。
  事後学修:愚行権について考えを深めよう。
4.どうすれば幸福の計算ができるか 規則功利主義とは何か説明できるようになる
  教科書 第5章                事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
5.倫理的判断能力は誰がするか リベラリズムについて考察する
  教科書 第6章                事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
6.思いやりだけで道徳の原則ができるか 相互性の原則(普遍化可能性・ヘア)の射程を理解できる
  教科書 第9章                事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
7.正直者が損をすることはどうしたら防げるか 囚人のジレンマに親しむことができる
  教科書 第10章                事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
8. 社会契約論学説史 他人の利益と共に自分の利益を追求してゆく(アマルティア・センの思想)
  松嶋敦茂『功利主義は生き残るか』■      事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
9.他人に迷惑をかけなければ何をしてもよいか リベラリズムに立つ他者危害の原則を知る
  教科書 第11章                事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
10.二重効果のジレンマ 緊急避難を功利主義的に考察する
  教科書 第12章
  事前学修:1.回目の功利主義の問題を復習して、次回にそなえる。
  事後学修:法学で緊急避難がどう扱われているか調べる。
11. 功利主義への批判(1) 厚生経済学における非帰結主義
  認知科学と拡張された選択肢■         事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
12. 功利主義への批判(2) 「自己善」と平等主義
  自己からいかに離れるべきか■         事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
13. 功利主義への批判(3) 近代資本主義の成立と宗教■                     マックスヴェーバーと経済倫理         事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
14. 功利主義の応答    自分の利益は棚上げにして他者の利益を追求してゆく■
  「道徳的である」とはどういうことか      事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
15.倫理的相対主義 社会にとっての善とはなにか(死刑・信頼)
  教科書 第14章                事前学修:HP閲覧 事後学修:添削の復習
■の回はあらかじめ模範解答を提示し、まとめの導きとする。HPでダウンロード可能にした。

【予習・復習】

予習一時間:教科書で予習されたい。
復讐二時間:復習ペーパーの検討とともに、専門領域への応用を考察すること。

【授業関連科目】

哲学概論I・教養演習・経済学史

【成績評価方法・注意】

小レポートは添削して返却する。またほかの学生の解答・チェックポイントを次回の講義のさい配布し、フィードバックとする。小レポートの評価を加算して成績評価をする。倫理学Iの履修者は受講することができない。なお授業中、スマホによる検索を許可する。

【教科書】

著者:加藤尚武 書名:『現代倫理学入門』 出版社:講談社学術文庫

【参考書】

参考書を使用しない