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刑事訴訟法II 2単位 2014年度以後入学生
2年以上 経済   経営    
2013年度以前入学生
白井 諭 後期1コマ 2年以上 経済   経営    
備考  
シラバス1

【授業の目的】

本科目は法学部の専門科目である(公務員コース選択必修科目)。犯罪を処理する手続を規律する「刑事訴訟法」の基本原則を学ぶことで「専門学術の振興」をはかる。また、知識の獲得にとどまらず、思考方法を身につけられるような講義を通じて「幅広い学習機会の提供」や「社会的人材の育成」を目指す。

【到達目標】

(1)社会や刑事司法に対する関心・問題意識を持ち、それに従い自主的に勉学を進めることができる。[CP/DP6 意欲・責任感]
(2)刑事手続の流れと基本原則を他者に十分に説明することができる[DP/CP1 専門知識]
(3)刑事手続の現状につき、問題点を発見し、様々な利益を考量しながらそれを解決することができる[DP/CP3 思考力、DP/CP4 判断力]
(4)社会で起こっている刑事事件につき、法的意見を理性的に述べることができる[DP/CP3 思考力、DP/CP4 判断力、DP/CP6 意欲・責任感]

【授業計画】

 後期に開講される「刑事訴訟法II」では、裁判手続の進め方や証拠の扱い方を検討する(刑事訴訟法全体の基本原則や刑事手続にかかわる担い手のあり方、捜査手続の原理・原則は前期に開講される「刑事訴訟法I」で扱う)。

 ≪授業計画≫
第1回 刑事裁判の原理・原則(1) ―直接主義・口頭主義と当事者主義― 
    <参考文献>Legal Quest[以下、LQ]pp.286-289
    <事前学修>憲法31条〜40条、刑事訴訟法1条に目を通しておくこと
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第2回 刑事裁判の原理・原則(2) ―公平な裁判所と迅速な裁判―
    <参考文献>LQ pp.289-297、刑事訴訟法判例百選[以下、百選]A31
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第3回 公訴の提起(1) ―国家訴追主義・起訴独占主義と起訴便宜主義―
    <参考文献>LQ pp.210-219
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第4回 公訴の提起(2) ―訴訟条件―
    <参考文献>LQ pp.262-285、百選37,38,42
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第5回 公訴の提起(3) ―公訴提起の方式―
    <参考文献>LQ pp.219-235、百選43,44
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第6回 公判の準備 ―保釈と証拠開示―
    <参考文献>LQ pp.306-322、百選A27,54
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第7回 公訴の追行 ―訴因変更の要否・可否・許否―
    <参考文献>LQ pp.236-262、百選45,46,47
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第8回 刑事証拠法の基本原則(1) ―証拠裁判主義・自由心証主義と挙証責任―
    <参考文献>LQ pp.346-357,457-470、百選60
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第9回 刑事証拠法の基本原則(2) ―証拠の関連性と違法収集証拠排除法則―
    <参考文献>LQ pp.357-370,416-432、百選63,90,92
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第10回 自白の扱い方 ―自白法則と補強法則―
    <参考文献>LQ pp.432-456、百選70,71,77
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第11回 伝聞証拠の扱い方(1) ―伝聞法則―
    <参考文献>LQ pp.370-386,412-416、百選79
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第12回 伝聞証拠の扱い方(2) ―伝聞例外―
    <参考文献>LQ pp.386-412、百選81
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第13回 事実認定の諸問題(1) ―概括的認定と択一的認定―
    <参考文献>LQ pp.471-484、百選93
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第14回 事実認定の諸問題(2) ―刑事裁判の効力―
    <参考文献>LQ pp.484-500、百選97,98
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

第15回 不服の申立 ―上訴・再審―
    <参考文献>LQ pp.503-548、百選99,100
    <事前学修>配布されたレジュメと参考文献に目を通して内容を確認すること
    <事後学修>レジュメと参考文献を熟読すること、当日出題された問題を解きなおすこと

(第15回終了後、定期試験を実施する)

  ≪授業の進め方≫
 この科目では「受動型」と「問題解決型(ケース・スタディ)」を併用する。刑事訴訟法の原理・原則にかかわる事例問題を参加者全員で検討してもらったうえで、刑事訴訟法の原理・原則にかかわる基礎知識を担当教員が解説する(教員からの問いに答えてもらったり、自分の意見を求めることがある)。
 いずれも、授業中に条文の参照が必要となる場面が頻繁にあるため、六法を必ず持参すること(小型のものでかまわないが、「刑事訴訟法」を搭載している最新版を用意すること)。

【予習・復習】

*予習(1回につき2時間程度)
(1)「講義案内システム」を用いて事前にレジュメを配布するので、あらかじめダウンロードのうえ内容に目を通しておくこと。
(2)関連する原理・原則やキーワードについて、参考文献で概要を確認しておくことが望ましい。

*復習(1回につき2時間程度)
(1)配布資料や参考書に目を通しながら、講義で扱った基本原則の内容を確認すること。もちろん、授業中に取り組んだ問題を解きなおすこともきわめて有益である。
(2)その他、課題レポートとして「演習問題」を定期的に出題する(1か月に1回の間隔で)。

【授業関連科目】

「憲法」と「刑法」の講義を履修済みまたは同時並行で履修することが望ましい。この科目に関連する講義として、「刑事政策」(前期)と「現代刑事法」(後期)を開講する。

【成績評価方法・注意】

* 基本的に学期末試験の成績で評価するが、「平常点」として、授業への参加度(授業内レポートの内容)や「演習問題」の答案の出来具合などを付加的に勘案することがある。
 授業内レポートや「演習問題」の答案は担当教員がチェックのうえ返却する。

* この講義では「講義案内システム」を用いてレジュメを事前に配布する(教室で配布するつもりはない)。レジュメを閲覧・プリントアウトできるPC環境を受講者が各自で確保しておくことが望ましい。

【教科書】

プリントを配布する
著者: 書名:六法(小型のもので可) 出版社:

【参考書】

著者:三井誠=酒巻匡 書名:入門刑事手続法〔第7版〕 出版社:有斐閣
著者:宇藤崇=堀江慎司=松田岳士 書名:刑事訴訟法(Legal Quest)〔第2版〕 出版社:有斐閣
著者:井上正仁=大澤裕=川出敏裕(編) 書名:刑事訴訟法判例百選〔第10版〕 出版社:有斐閣