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法社会学II 2単位 2014年度以後入学生
2年以上 経済   経営    
2013年度以前入学生
守屋 明 後期1コマ 2年以上 経済   経営    
備考  
シラバス1

【授業の目的】

法学部の専門科目として、本学の教育目標である「専門学術の振興」に貢献すること、とりわけ法学の分野において「社会事象を分析し、解決できる能力を備える」ために、日本社会の特殊性といわれてきた訴訟回避傾向を理論的に意義づけ、「法化」「非法化」「反法化」の概念を通じて日本社会を的確に分析する能力を獲得することを授業目標とする。

【到達目標】

1.「日本人の訴訟嫌い」論に含まれる問題点を理論的に説明できる。
2.「法意識」がどのように法社会学理論において論じられてきたかを説明ができる。
3.日本社会の特徴を「法化」「非法化」「反法化」の概念を用いて説明できる。
4.個人主義的社会と集団主義的社会における紛争過程の差異を説明できる。
5.現代的問題の処理過程における「自立型法」「自治型法」「管理型法」の役割を説明できる。
6.現代型訴訟の提起した新しい司法機能の必要性を説明できる。
7.現代社会における法律家に求められる新たな役割や技能について説明できる。

【授業計画】

1.我が国の司法システムの特徴を「日本人の法意識」論から考える
2.法意識と法行動の関連を理解する:古典的法社会学理論から学ぶ
3.現代法の特徴を理解する(1):「法化」「非法化」「反法化」の概念を理解する
4.現代法の特徴を理解する(2):自立型法・自治型法・管理型法の重層性を理解する
5.「隣人訴訟」を再検討する(1):「法化」と「反法化」の緊張関係を考える
6.「隣人訴訟」を再検討する(2):「法化」と「非法化」の協働関係のための条件を考える
7.自治型法の諸相をみる(1):日本の法文化にみられる共同体主義を考える
8.自治型法の諸相をみる(2):生命倫理問題における法の現れ方を考える
9.管理型法の諸相を考える(1):消費者保護のための司法システムのあり方を考える
10.管理型法の諸相を考える(2):環境保護政策における法の用いられ方を考える
11.現代型訴訟を再検討する(1):司法システムにおける権利の保障の多元性を理解する
12.現代型訴訟を再検討する(2):司法システムを通じた政策の形成機能を理解する
13.現代の法律家の役割を考える(1):多様化する法律家の役割について理論的に理解する
14.現代の法律家の役割を考える(2):弁護士とクライアントとの間のコミュニケーションを考える
15.日本の司法制度の特徴を整理する:多様な法的価値の実現システムを整理して理解する

【予習・復習】

 各講義につき、30分の復習および30分の予習が必要である。予習すべき内容については、各回の講義において指示する。復習については、各回配布の資料および講義中記述したノートを点検し、理解度を確認すること。

【授業関連科目】

法哲学、民法、民事訴訟法

【成績評価方法・注意】

上掲の到達目標にどの程度達したかを複数回の小テスト(30%)と最終テスト(55%)、受講態度(15%)により評価する。小テストにより各項目別の知識と理解を確認した上で、最終テストにより総合的な論点の理解度を評価する。

【教科書】

教科書を使用しない

【参考書】

著者:田中成明 書名:転換期の日本法 出版社:岩波書店