現実世界と文学 | 2単位 | 2014年度以後入学生 | |||||||
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法 | 1年以上 | 経済 | 経営 | 1年以上 | 商 | 1年以上 | |||
2013年度以前入学生 | |||||||||
越智 悦子 | 後期1コマ | 法 | 1年以上 | 経済 | 1年以上 | 経営 | 1年以上 | 商 | 1年以上 |
備考 | 木II |
全学共通の教養科目として、本学の教育目標である「社会的人材の育成」に貢献すること。
受講生が受講後に次のような事ができるようになること。
1.人間はその文字が示すとおり、他者存在によって始めて自己が確立すること、社会の中でつまりは他者に囲まれて始めて自己の存在が可能であることを理解する。
2.社会の中で他者に囲まれていることによって起こるさまざまな問題を、自分のこととして注目できる。
3.一個の人間として、自分自身を主体的に生きるとはどういうことか、を考えることができる。
授業形態:講義 授業方法:受動型
1.作品の成立過程――『吾輩は猫である』が書かれ、作家漱石が誕生した経緯を解説。
2.語り手「猫」について――語り手「吾輩」が最後まで無名であることの意味と有効性を考える。
教科書:夏目漱石著『吾輩は猫である』第1章
3.登場人物の特色――「太平の逸民」の中で、特に「迷亭」に注目してその特色を考える。
教科書:夏目漱石著『吾輩は猫である』第2章
4.人間の虚栄心――「迷亭」の言葉によってあからさまにされる人間の虚栄心について考える。
教科書:夏目漱石著『吾輩は猫である』第1〜2章
5.『吾輩は猫である』の構造――超俗を代表する「太平の逸民」と世俗を代表する金田一派の対立構造を読み取る。
教科書:夏目漱石著『吾輩は猫である』第3章
6.様々な強勢(力)と自己対他者の関係――「強勢は権利なり」の現実での生き方を探る。
教科書:夏目漱石著『吾輩は猫である』第4章
7.様々な強勢の一つとして金力と弱者について考える。
教科書:夏目漱石著『吾輩は猫である』第5章
8.様々な強勢の一つとして国家権力と国民について考える。
教科書:夏目漱石著『吾輩は猫である』第6章
9.様々な強勢の一つとして近代西欧文明と日本について考える。
教科書:夏目漱石著『吾輩は猫である』第7章
10.様々な強勢の一つとして多勢と無勢について考える。
教科書:夏目漱石著『吾輩は猫である』第8章
11.宗教観――「耶蘇教の神」をとおして、神とは何かを考える
教科書:夏目漱石著『吾輩は猫である』全体(以下同様)
12.人間の平等観――銭湯の場面をとおして、我々の平等観の本質を考える。
13.人間の本性――「他者より優位に立ちたい」との欲望と、現代人の競争意識について考える。
14.近代開化の問題点(1)――「現代日本の開化」に表明された漱石の近代批判を解説。
15.近代開化の問題点(2)――『吾輩は猫である』の具体的描写に「現代日本の開化」との関連を読み取る。
16.定期試験
次回の講義内容に該当する、漱石の第一次資料(テキスト)の範囲を出来るだけ自力で読解してくること(予習)と、講義で学んだことを、自分の読解とを比較しながら、理解を深める復習をする。
前期開講科目「人間学としての文学」を受講しておくことが望ましい。
試験のみ。出席をとる。三分の二以上出席すること。
上記の到達目標にどの程度達したかを、記述式問題で試験し、評価する。
著者:夏目漱石著 書名:『吾輩は猫である』 出版社:新潮文庫
著者:玉井敬之監修 書名:『夏目漱石作品論集成』 出版社:おうふう