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会計学特論I 2単位   経済   経営  
         
川本 和則 前期 クラス: 大学院

シラバス1

【授業の目的】

授業の位置付け(対応するディプロマポリシー):DP1高度な専門知識、DP3思考力、DP4判断力、DP6意欲・責任感
 大学院商学研究科会計分野に係る専門科目として、本学大学院の教育理念である「社会科学の各専攻分野に関する高度の専門的知識と、具体的社会事象に関する問題分析能力、理論的予測能力、創造的な政策立案・実践能力を備えた人材の養成」の達成に貢献することを講義目標とする。

【到達目標】

 本講義の到達目標は、会計基準の正当性を支えることに関して下記の組織や手続きなどが果たす役割について、受講者が概説できるようになることである。
 1.会計基準設定機関が果たす役割について。
 2.会計基準形成の際の正当な手続き(デュー・プロセス)の存在が果たす役割について。
 3.概念フレームワークが果たす役割について。


【授業計画】


 本講義は受講生が幅広い視野に立って、会計基準のコンバージェンスと将来事象会計(非常に多様な将来予測要素を内包する会計処理)の導入が進展する現代会計を理解する能力を養成するために、わが国の会計基準および会計実務の正当性がいかにして支えられているのかを国際財務報告基準(IFRS)の内容等にも触れつつ講義する。さらに、そのことを通じて、受講生が現実の会計現象を独自の視点で論理的に把握し、修士論文の作成に必要な研究を自立的に進展させうる研究能力の育成も目指す。

 本講義では毎回、講義内容に関する予習を課す。講義においては受講生に質問したり各自の考えを論理的に説明するための時間をとる。また、必要に応じて、受講生同士が議論する時間を設けることもある。

(1)会計基準形成における合意の獲得方式(第1回から第6回)
 会計を理解するためには、ある会計処理を用いることの正当性がいかにして支えられているのかという側面からの検討も重要である。この会計処理の正当性に関する問題を検討するために、わが国の会計基準設定機関を中心に、会計基準の形成方式と会計処理に対する合意の獲得方式との関係について6回の講義を行う。
 なお、合意の獲得方式を検討するために取り扱う問題は、受講生の関心および会計学の基礎能力の習熟度に応じて変更する予定である。変更した場合の予習内容等については、講義中に改めて指示する。

第1回 会計の役割(会計実務と合意の獲得)
・予習内容
 会計実務、会計処理、会計基準(会計原則)、会計理論の役割について。
・資料
 加藤盛弘『現代の会計学』第3版、森山書店、2002年。

第2回 わが国における会計基準の形成方式
・予習内容
 財務会計基準機構の構造(各組織の内容と役割)と企業会計基準委員会の会計基準形成方法について。
・資料
 企業会計基準委員会「企業会計基準委員会等運営規則」
 企業会計基準委員会「会計基準等の開発・公表の手続きについて」
 財務会計基準機構「公益財団法人 財務会計基準機構 定款」


第3回 わが国会計制度のあり方
・予習内容
 金融商品取引法、会社法、および法人税法における会計基準の位置づけについて。
・資料
 会社法、金融商品取引法、法人税法、および関連する諸法令
 
第4回 国際財務報告基準の形成方式
・予習内容
 国際会計基準委員会財団の構造(各組織の内容と役割)とIASBのデュー・プロセスについて
・資料
 加藤盛弘『一般に認められた会計原則』、森山書店、1994年。
 佐藤誠二編著『グローバル社会の会計学』、森山書店、2009年。
 IFRS財団『デュー・プロセス・ハンドブック』、2013年
(IFRS Foundation, Due Process Handbook, 2013)。
 IFRS財団『定款』、2016年(IFRS Foundation, Constitution, 2016)。

第5回 会計基準のコンバージェンス
・予習内容
 ノーウォーク合意、MoUおよび東京合意と、わが国におけるIFRSへの対応について。
・資料
 佐藤誠二編著『グローバル社会の会計学』、森山書店、2009年。
 企業会計審議会「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」2009年。
 企業会計審議会「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」、2013年。 

第6回 会計基準設定機関と合意の獲得
・予習内容
 会計基準設定機関の構造とそのデュー・プロセスの存在などが会計基準の正当性に関して果たす役割について
・資料
 加藤盛弘『一般に認められた会計原則』、森山書店、1994年。
 佐藤誠二編著『グローバル社会の会計学』、森山書店、2009年。

(2)合意の獲得と概念フレームワーク(第7回から第15回)
 わが国およびIASBの会計基準の正当性は会計理論によっても支えられている。ここではその会計基準の理論的正当性について検討するために、IASBの概念フレームワークにも触れながら、わが国の討議資料「財務会計の概念フレームワーク」の内容とそれが果たす役割について9回の講義を行う。

 なお、第7回から第13回の資料は下記のとおりである。
  企業会計基準委員会、討議資料「財務会計の概念フレームワーク」、2006年。
  国際会計基準審議会「財務報告に関するフレームワーク」、2010年
  (IASB, Conceptual Framework for Financial Reporting, 2010)。

第7回 財務諸表の目的論と合意の獲得
・予習内容:財務報告の目的について。
 
第8回 財務諸表の質的特性論と合意の獲得
・予習内容:会計情報の質的特性について。

第9回 財務諸表構成要素の定義論と合意の獲得(1)(資産、負債および純資産の定義)
・予習内容:資産、負債および持分の定義について。

第10回 財務諸表構成要素の定義論と合意の獲得(2)(収益および費用の定義)
・予習内容:収益および費用の定義について。

第11回 財務諸表構成要素の認識論と合意の獲得
・予習内容 : 認識規準について。

第12回 財務諸表構成要素の測定論と合意の獲得(1)(資産の測定)
・予習内容 : 資産の測定について。

第13回 財務諸表構成要素の測定論と合意の獲得(2)(負債の測定)
・予習内容 : 負債の測定について。

第14回 概念フレームワークが果たす役割
・予習内容 : わが国とIASBにおける概念フレームワークの位置づけについて。
・資料
 加藤盛弘『現代の会計原則』[改訂増補版]、森山書店、1987年。

第15回 会計基準の正当性と合意の獲得
・予習内容 : 合意の獲得と会計基準の正当性との関係について。
・資料
 加藤盛弘『一般に認められた会計原則』、森山書店、1994年。
 加藤盛弘『現代の会計学』第3版、森山書店、2002年。
 


【予習・復習】

予習(2時間)
 上記の授業計画を参考にして、次回の講義で学修する資料の該当部分を読み、予習した内容に関する自らの考えを整理する。また、講義での報告を課した場合には、その準備をしてくること。

復習(2時間)
 毎回の講義で学修した範囲の会計基準等を読み返し、自分なりに整理できるようにする。復習時に生じた疑問点や理解しにくい点は、オフィスアワーや次回の講義の際に質問するなどすること。


【授業関連科目】

会計学特論II
会計実務論特論I、会計実務論特論II
財務会計論特論I、財務会計論特論II
簿記論特論
国際会計論特論I


【成績評価方法・注意】

 成績評価は毎回の受講態度(報告や議論への参加などを含む)およびレポートによって評価する。報告は講義中にコメントし、レポートは後日、コメント等をつけて返却する。


【教科書】

プリントを配布する



【参考書】

適宜指示する



シラバス2

【授業形態】

講義 演習 実習・実技 実験
     

【授業方法】

受動型 アクティブラーニング フィールドスタディ 問題解決型 その他
       

【受講生のPC等使用】

PC・タブレット
(教室に備付)
PC・タブレット
(学生自身が準備)
スマートフォン その他
       

【初年次教育】

 

【接続科目】

地域社会 国際社会 産業界 大学院進学
     

【評価(方法)手段】

評価(方法)手段 学部・学科カリキュラム・ポリシー(CP)
知能・技能 思考・判断・表現力 主体性・態度
CP1 CP2 CP3 CP4 CP5 CP6 CP7 CP8 CP9
専門知識 一般知識 思考力 判断力 会話・文章力 意欲・責任感 協調性 持続性 倫理観
評価(方法)手段          
学習目標(比率) 50% 20% 10% 20%
評価手段(比率) 試験
小テスト
レポート 80% 50 20 10
成果発表
受講態度 20% 20
その他
対応するディプロマ・ポリシー(DP) 知能・技能 思考・判断・表現力 主体性・態度
DP1 DP2 DP3 DP4 DP5 DP6 DP7 DP8 DP9
専門知識 一般知識 思考力 判断力 会話・文章力 意欲・責任感 協調性 持続性 倫理観
                 

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