【授業の目的】
法学部の専門科目として、本学の教育目標である「専門学術の振興」に貢献すること、とりわけ法学の分野において「社会事象を分析し、解決できる能力を備える」ために、国際的・比較法的視点に立って日本法を理解するための鋭い洞察力と問題の発見・分析能力の獲得を授業目標とする。
【到達目標】
受講生が授業終了までに次のようなことができるようになることが到達目標である。 1.日本法の理解のためには、大陸法と並んで英米法の知識が必要であることを、例を挙げて説明できる。 2.大陸法と英米法との共通点と相違点を具体的に説明できる。 3.イギリス法とアメリカ法との共通点と相違点を具体的に説明できる。 4.イギリス法の歴史を概観して、陪審制度や法曹養成制度の特徴を説明できる。 5.アメリカ法の歴史を概観して、違憲立法審査権や連邦制の特徴を説明できる。 6.現代の英米法の動向とその特徴を説明できる。
【授業計画】
.講義の概要説明:日本において英米法を学ぶことの意義を考える 教科書第1章「アメリカ法研究の意味」参照 2.大陸法と英米法:世界の法圏における大陸法と英米法の位置を知る 教科書第2章「アメリカ法の法系的地位」参照 3.判例法主義:英米法の特徴である判例法主義について考える 教科書第5章「判例法主義」参照 4.連邦法と州法:アメリカ法の複雑さを連邦法と州法の重なり合いの中で理解する 教科書第6章「連邦法と州法」参照 5.議会と司法権:違憲立法審査権の確立したアメリカと議会主権の英国との違いを考える 教科書第7章「司法権の優越」参照 6.当事者主義:英米法の1つの理念である当事者主義を大陸法との比較の中で理解する 教科書第9章「当事者主義的訴訟手続」参照 7.イギリスの陪審制度:陪審制度の成立をイギリスの歴史の中で理解する 教科書第8章「陪審制度」参照 8.アメリカの陪審制度:アメリカにおける陪審制度の歴史と現状を考える 教科書第8章「陪審制度」参照 9.イギリスの法律家:バリスタ−とソリシターの二元的構成をとるイギリスの歴史を考える 教科書第10章「法律家」参照 10.アメリカの法律家:大量の法律家を生み出したアメリカの歴史を考える 教科書第10章「法律家」参照 11.イギリスの司法制度:今日のイギリス司法制度の特徴を判例を通じて理解する プリント配布 12.アメリカの司法制度:今日のアメリカ司法制度の特徴を判例を通じて理解する プリント配布 13.現代の英米法:英米の法思想の基礎を理解した上で今日の英米法の課題を考える 教科書第11章「法律家の考え方」参照 14.英米法と日本法:今日における日本法と英米法との相互関係を考える プリント配布 15.講義のまとめとQ&A なお、各回についてレジュメおよび必要に応じて資料を配付する。 授業1回当たり、予習の時間1時間、復習の時間1時間。講義内容を確実に理解することが目標となる。
【授業関連科目】
「大陸法とその歴史」「法社会学」など
【成績評価方法・注意】
受講姿勢(15%)、小テスト(20%)、期末試験(65%)で評価する。
【教科書】
著者:伊藤正己・木下毅 書名:アメリカ法入門 出版社:日本評論社
【参考書】
適宜指示する
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