【授業の目的】
現代における刑事法のあり方を検討する機会を提供することで「専門学術の振興」をはかっていきます。また、知識の獲得にとどまらず、思考方法を身につけられるような講義を通じて「幅広い学習機会の提供」や「社会的人材の育成」を目指します。
【到達目標】
(1)社会や刑事法に対する関心・問題意識を持ち、それに従い自主的に勉学を進めることができる。[幅広い学習機会の提供/社会的人材の育成] (2)刑事法の基本原理の概要を他者に説明することができる[専門学術の振興] (3)社会で起こっている刑事事件につき、意見を理性的に述べることができる[社会的人材の育成]
【授業計画】
*授業形態:講義、授業方法:受動型+能動型(アクティブラーニング)
≪授業内容≫ 連日、新聞やテレビなどでは犯罪をめぐるニュースが報道され、人によっては治安に対して強い不安が表明されています。また最近では、刑法や刑事手続をめぐって新たな立法の動きが続々と現れ、なかにはこれまで鉄則とされてきた原則をも揺るがしかねないものも出てきています。そもそも刑罰や刑事手続は国家や社会を平和に保つための道具として用いられてきましたが、それらの運用のありように主権者であるわれわれが関心を持ち、そのあり方について自分の意見を持つことは、制度を健全なものにするためにも重要なことだといえるでしょう。
この講義では、犯罪と刑罰をめぐる近時の動きを刑事法の様々な基本原則から検討していきます。まだ十分に刑事法科目を履修していない学生には、犯罪と刑罰をめぐる最近のトピックをきっかけに刑事法への関心を高められるような講義を展開したいと思います。また、学習が進んでいる学生にも、刑事法の基本原則を見直す機会を提供したいと思います。
≪授業計画≫ ※社会情勢の動きなどに伴い、扱うトピックを変更することがあります。 第1回 刑罰とは何か 第2回 刑事司法の流れと現状 <トピック> 近時の犯罪情勢 第3回 刑罰の目的 <トピック> 死刑制度 第4回 刑法の機能 <トピック> 各種事故への対応 第5回 犯罪が成立する要件 <トピック> コンピュータ犯罪 第6回 犯罪が成立しない要件 <トピック> 触法精神障がい者の処遇 第7回 近年の刑事立法と刑法の原理 第8回 刑事手続を貫く理念 <トピック> 誤判・冤罪事件 第9回 犯罪捜査を貫く理念 <トピック> 取調べの可視化(録画・録音) 第10回 刑事裁判の新たな動き <トピック> 裁判員制度、司法取引 第11回 特定秘密保護法の刑事法的問題点 第12回 共謀共同正犯と共謀罪 第13回 犯罪被害者等への対応 第14回 犯罪者の処遇 <トピック> 薬物事犯への対応 第15回 少年法の原理・原則 <トピック> 少年法改正
≪授業の進め方 & 授業外の学習≫ (1)授業の進め方 この科目では「受動型」と「能動型」の二部構成をとります。まず前半部分で、刑事政策や少年法の基礎知識を担当教員が解説します。そして後半部分では、講義で扱ったテーマにかかわる問題点を参加者全員で検討します(教員からの問いに答えてもらったり、自分の意見を求めることがあります)。 いずれも、授業中に条文の参照が必要となる場面が頻繁に出てきますので、六法を必ず持参してください(小型のものでかまいませんが、「刑事訴訟法」・「刑事収容施設及び被収容者の処遇に関する法律」などを搭載した最新版を用意してください)。 (2)授業外の学習(予習・復習あわせて4時間) 配布資料などを基に、講義で扱った基本原則の内容を確認してください。
【授業関連科目】
「刑法」、「刑事訴訟法」及び「刑事政策」の講義を履修済みであるか同時並行で履修していることが望ましいですが、履修条件にはしません。
【成績評価方法・注意】
*成績評価方法:試験とレポート両方(試験70%+レポートなど30%) 基本的に学期末試験の成績で評価しますが、「平常点」として、授業への参加度などを付加的に勘案することがあります。「授業の参加度」は授業内レポートの内容などを実質的に勘案して評価するものであり、出席回数がそのまま評価の対象になることはありません。
【教科書】
プリントを配布する
【参考書】
適宜指示する
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