【授業の目的】
本講義では、本学の教育目標である「専門学術の振興」に貢献することを目標とします。また、より実践的な租税法の知識を習得し、法的思考に基づきディベート形式で議論ができるようになることを目標とします。
【到達目標】
1、判例を理解し、自分の考えを理論的に述べることができる。 2、租税法と憲法・私法との関係性を踏まえたうえで、各事案の争点を整理し、当事者双方の立場に基づき論理を構成することができる。
【授業計画】
給与からは所得税や住民税が源泉徴収され、商品の価格には消費税が含まれています。他にも相続税や固定資産税、法人税等、税は幅広い分野にかかわっているため、租税法は経済活動を行う上で不可欠の考慮要素となっています。特に今日では、租税法の社会保障的性質も注目されており、税について報道されない日はないと言っていいほど、日常生活と密接にかかわっています。しかし、その法律がどのような趣旨に基づいて定められており、国民にどのような影響を与えるのかはあまり理解されていません。この講義では、私たちが納めている税金の計算方法や、その構造を理解するために、今日における租税法の議論をふまえつつ、租税制度をより具体的、実践的に理解できることを目的とします。
本講義の進め方は、判例を中心とした報告・ディベート形式によるものとします。ディベートというと苦手意識を持つかもしれませんが、まずは自分の考えを口に出すことからスタートしましょう。
前期では受講者全員を課税庁・納税者に分けて、租税法の基本原則、憲法・私法との関係性等の基本的テーマから、所得税法の課税単位、所得分類、必要経費等の具体的項目についてディベートを行います。 後期は法人税法を中心に、相続税・贈与税、消費税、国際課税等、幅広い分野から報告者の関心のある事例を選択してもらいます。(時事問題も可) 報告者が事例について説明した後、報告者を中心としてディベートを行います。
<前期> (1) オリエンテーション (2)〜(6) 租税法と憲法・私法との関係性等 (7)〜(9) 租税法の基本構造 (10)〜(15) 所得税法 <後期> (16)〜(19) 法人税法 (20)〜(21) 相続税・贈与税 (22)〜(23) 消費税法 (24)〜(26) 国際課税 (27)〜(28) 地方税法 (29) 租税手続法 (30) まとめ
予習(1時間程度) 該当箇所に係るニュース、判例を読んで概観を把握しておくこと。 復習(1時間程度) 問題に関する判例の動向、および関連条文の構造を理解すること。
【授業関連科目】
税法I・II・III・IV、憲法、民法、会社法、行政法、刑法など。
【成績評価方法・注意】
教室での発言・報告内容によって評価します。学生の自主性を尊重して授業を進めますので、学ぶ意思をもって積極的に参加して下さい。また、報告担当者は責任をもって発表して下さい。 無断欠席は厳禁とします。
【教科書】
プリントを配布する
【参考書】
著者:水野忠恒ほか編 書名:租税法判例百選[第5版](別冊ジュリスト207) 出版社:有斐閣
著者:水野忠恒 書名:租税法[第5版] 出版社:有斐閣
|