【授業の目的】

　公務員試験を教材にして、形式論理に関わる判断能力と推論能力を養う。あわせて文章を読解するために必要な論理学の基礎に慣れるようにする。ときには判例等を参照し、その目的に役立てる。

【到達目標】

　形式論理、特に否定と三段論法の使いこせるようになる(法と論理IIでも復習するのでIIの履修が望ましい）。この講義で修得する「論理」とは、次のようなものを言う。「論理法則は事実法則ではなくして、事実を表現する概念の間、またはそれら概念の記法である言語の間の関係を述べたものである」(大森荘蔵(1971)「論理と世界」より)。こうして考えられる論理法則を扱うのが、「論理」である。要するに「論理」とは、言葉における取り決めであることに留意されたい。

【授業計画】

　ホームページに模擬試験を解く場を用意するので、意欲のある学生はチャレンジしてもらいたい。法律解釈の問題はあくまで文章の論理・指示関係をつかむという目的のためであり、法学の入門とは独立である。必ず教科書購入のこと。
　
1. 集合　集合の要素：集合の内包的表示と外延的表示
　　　教科書：田辺勉(1993)20頁　　倍数の集合の関係テスト　　　
2. 命題と論理　論理と集合
　　　教科書：田辺勉(1993)26-27頁
3. オイラーの図式とならばの基礎　逆・裏・対偶
　　　(AならばBの逆：BならばA、裏:AでないならBでない、対偶：BでないならAでない)
　　　教科書：田辺勉(1993)2-5頁　参考書：野矢茂樹(1994)28-31頁
4. 条件法の基礎　条件(「ならば」の)連鎖
　　　教科書：田辺勉(1993)5-7頁
5. ドモルガンの法則
　　　教科書：田辺勉(1993)6-9頁
6. ドモルガンの法則と条件連鎖の組み合わせ1
　　　教科書：田辺勉(1993)8-9頁
7. ドモルガンの法則と条件連鎖の組み合わせ2
　　　教科書：田辺勉(1993)9-11頁
8. 復習小テスト
9. 実用的な三段論法は限られている(S,P,Mの三概念と二つの前提・結論の三段からなる)
　　　参考書：野矢茂樹(1994)79-81頁
10.論理の飛躍と三段論法 マクリーン裁判
　　　参考書：野矢茂樹(1994)81-83頁
11.解釈と論理１　憲法小テストと解説
　　　行政書士対策試験問題から例をとる
12.解釈と論理２
　　　行政書士対策試験問題から例をとる
13.解釈と論理３ 薬局開設の制限
　　　参考書：芦部信喜(1999)『新版補訂版憲法』岩波書店
14.解釈と論理４　薬局開設の制限
15.まとめのテスト及び解説
　　　教科書：田辺勉(1993)13-14頁
　HPでの予習一時間・配布資料の復習三時間を目安とされたい。

【授業関連科目】

思考の論理的形式Ｉ・思考の論理的形式II・法と論理II・憲法

【成績評価方法・注意】

　試験とレポートで評価する。期末試験、及び授業で課した課題(レポート)、及び小テスト・宿題で上掲目標の到達度を評価する。期末試験：授業で課した課題+小テスト+宿題＝7：3

【教科書】

著者：田辺勉　書名：『上・中級公務員　標準判断推理』　出版社：実務教育出版

【参考書】

適宜指示する