【授業の目的】
過去の科学論では、有限回の観察から普遍的な法則を導き出すことが可能であるという、帰納主義的科学観が支配していた。前世紀中頃から、観察は理論に依存しているという規約主義的科学観が主流となった。この科学観の転換を解説すると共に、科学と哲学(宗教)の関係を歴史的に考察する。科学に対する複眼的な考察の機会を与え、幅広く深い教養を培う。
【到達目標】
1.帰納主義(有限回の観察から法則を導き出す手続きをモデルとする科学観)の限界を把握できるようになる。 2.宗教と科学の関係についての基礎知識を習得できる。 以前より科学史の内容を拡充して、科学と人生の問題の関係に踏み込めるよう、配慮した。
【授業計画】
講義形式。インターネットを利用して授業を行う。教材はHPを印刷して得ることもできる。 1 .【帰納主義・規約主義】アウトライン:規約主義という科学観の一端を紹介する 2 .【科学と宗教】自然を通して神に触れることを理解できる:古代・中世のキリスト教と科学 3 .【規約主義】コペルニクスを題材に「思考の枠組み」を考える 4 .【帰納主義】経験の積み重ねは理論形成にとって有効かを問う 5 .【帰納主義】ベイコンの方法論とキリスト教の結びつきを把握できる:その本来の意図はキリスト教精神であった 参考書:渡辺正雄(1989)「F・ベイコンの学問革新論−その宗教的起源−」 伊東俊太郎・村上陽一郎共編『講座科学史1、西欧科学史の位相』培風館。 6 .【機械論】機械論は神への信仰に向き合ったものであることを知る.1 7 .【機械論】機械論は神への信仰に向き合ったものであることを知る.2 8 .【帰納主義】経験という根拠がいかに薄弱かを七面鳥の話で理解する :あわれな七面鳥の物語 9 .【帰納主義】確率とは生き方の態度表明であることを学ぶ(小テスト) 参考書:大森荘蔵(1981)『流れとよどみ』産業図書よりテスト出題。 10. 【科学と宗教】近代理性と神(啓蒙以前・啓蒙以後) 11.【規約主義】ガリレオの月観察:観察は理論に基づくことを理解する 12.【科学と宗教】ブレヒトの戯曲を題材にしてガリレオ裁判の真相を知る 参考書:B.ブレヒト(1995)千田是也訳『ガリレイの生涯 』 (ブレヒト戯曲選集; 第3巻)白水社。 13. 【科学と宗教】哲学者ニュートンの思想の一端に触れることができる:ニュートンにとって空間は神そのもの 14.【科学と宗教】科学のキリスト教からの離脱について知る 15.【科学と宗教】小休憩:魂の救済をめぐるコミック HPでの予習一時間・配布資料の復習三時間を目安とされたい(必要事項は暗記の事)。評価不能の小レポートを提出しても平常点に加算しない(出席回数ではなく、取り組み方を評価する)。授業の初めにHPにて前回の復習をする。 なお講義掲示板から重点事項をまとめた「しおりのファイル」をダウンロードできるようにする。予習、復習に活用してもらいたい。
【授業関連科目】
哲学概論I・こころの哲学・思考の論理的形式II
【成績評価方法・注意】
試験とレポートで評価する。帰納主義の限界または科学と宗教に関する選択肢問題・穴埋め問題・事項解説を期末試験として課す。自筆ノートのみ持ち込み可(プリントの持ち込み不可、またプリントをノートに貼ってもいけない)。授業で課した小レポート+宿題の勉強のすすめ、を平常点として計算する。期末試験:平常点=7:3。
【教科書】
プリントを配布する
【参考書】
適宜指示する
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